企業イメージ、市場競争力を維持するためにも、決して許されないソフトウェアの違法コピー。
防止策の導入は、企業規模に関係なく、全ての企業にとって必要不可欠です。

違法コピーと著作権法

(1)著作権侵害行為に対する罰則

違法コピー対策の重要性を考える上で、特に注意したいのは、ソフトウェアの違法コピーなどの著作権侵害行為に対する罰則です。2007年7月の改正によって、現行著作権法は著作物としてソフトウェアの保護が強化されました。

個人の場合(違法コピーを行った社員)
(1)10年以下の懲役、若しくは1,000万円以下の罰金
(2)または、この併科
法人の場合(違法コピーを行った企業)
3億円以下の罰金

違法コピーなど著作権侵害行為を行った場合、個人に対しては従来の5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金。悪質な場合は、その併科も考えられます(著作権法119条)。
一方、法人も、1億5千万円から3億円と罰金の上限が引き上げられています(著作権法124条)。企業として違法コピーを放置せず、早期に防止策を講じることが極めて重要なのです。

(2)判例に見る経営者の責任

違法コピーを巡るこれまでの判例の中で、違法コピーが発生した場合の損害賠償責任は、法人自体だけでなく、取締役にも損害賠償責任があることが実際に認められています。

パソコンスクールAに対する損害賠償訴訟
判決で、会社と代表者に対して、総額約3,878万円の損害賠償を命じる(2003年10月:大阪地方裁判所)

大阪地裁は、違法コピーが放置されていたこと、また管理体制に不備があったことで、代表取締役の重過失を認定しています。経営者にとって、違法コピー対策は義務なのです。

(3)会社法で定義された役員の義務

会社法の定義では、代表取締役だけではなく、取締役や監査役にも、違法コピー対策が義務づけられていると考えられます。

会社法第429条
役員等がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該役員等は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。
(役員等の第三者に対する損害賠償責任)

第429条の「役員」には、代表取締役、取締役、監査役も含まれています。役員の管理不行き届きが原因で、結果として組織内で違法コピーが発生した場合、全ての役員が損害賠償の責任を負うことになると考えられます。代表取締役はもちろん、役員全員にとって違法コピー対策は、果たすべき重責の一つなのです。

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